ハタラキアリの徒然日記

働く中で気づいたことについて書くブログです。仕事での「気づき」やビジネス書の書評などを書いています。

同一労働同一賃金について思うこと

同一労働同一賃金は、正直に言って難しいでしょう。

同一労働同一賃金とは

言葉の定義

議論をはじめるときは、まず言葉の定義をしておいたほうが好ましいことが多くあります。

同一の仕事(職種)に従事する労働者は皆、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念。性別、雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種、宗教、国籍などに関係なく、労働の種類と量に基づいて賃金を支払う賃金政策のこと。

出典: ウィキペディア フリー百科事典「同一労働同一賃金」

Wikipediaからの引用ですが、定義について触れているページはあまり見当たりませんでした。

この定義は、おそらく人種・宗教などの差別を防ぐ考え方のように見えます。*1

日本人のいう「非正規雇用云々」というのが、同一労働同一賃金においてどれらで重要な部分なのかはわかりません。

厚生労働省の課題意識

この問題を取り扱っている主な組織は厚生労働省です。

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彼らは何を問題視しているのでしょうか。

賃金格差は、学歴、勤続年数、役職、職種等を制御するとある程度縮小するが、制御してもなお格差が存在することは事実である。

不合理な格差を是正し、(後略)

出典: 厚生労働省「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会報告書」、2017年。

どうやら「不合理」なるものが問題視されています。

問題解決にあたっての課題には、言葉の定義が難しいというものがあるようです。

どこまでが「同一の労働」とみなすべきなのか、何が揃えるべき「賃金」なのかと考えていくと、この同一労働同一賃金の考え方あるいは原則を、厳密に定義することはなかなか難しい。

出典: 厚生労働省「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会報告書」、2017年。

同一賃金にならない理由

私は一般的な会社員よりも仕事ができると自負しておりますが、それほど高い給与はいただいておりません。

このことに対して不満はあるものの、納得はしております。なぜ納得しているのかについては以下のとおりです。

暫定的定義

同一労働と同一賃金について暫定的に定義をします。

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同一労働とは

同一労働である2人の従業員について、役割をすべて反転させたときでも、仕事の成果や所要時間、必要リソースなどが一切変わらないこと。

所要時間が変化したり、仕事について余分なサポートが必要になったりしたら、それは同一労働ではなかったととらえます。

同一賃金とは

同じ労働時間に対する給与・賞与の合計額が同一であるということ。

福利厚生などは含めないことにします。

また、あえて時給と表現しないのは、1日8時間労働の人と1日12時間労働の人が、ぴったり1.5倍の賃金になるとは考えづらいからです。

同一労働にならない「不便さ」

派遣社員などの非正規労働者は「異動」などが自由でないため、言い方は悪いのですが「不便」な従業員です。

私も派遣社員のようなものなので、雇用主側から見れば「不便」な労働者でしょう。

次に、労働時間の差です。

極端な例で考えれば、次の3つの生産性は異なります。

1人で16時間働く

2人で8時間ずつ働く

16人で1時間ずつ働く

1つ目のパターンのほうが融通がききやすく、かつ、情報共有などのコストも低くなります。

同一賃金においては必ずしも時給換算は成り立たず、あくまで「同じ労働時間に対して同じ給与」と考えるべきです。

このように考えれば、そもそも正規雇用と非正規雇用で同一労働にはなりえません。

現状は正しいのか

同一労働同一賃金については、すでにおおよそ達成されていると思いますが、現状が正しいとは考えておりません。

私の基本的な考えは、そもそも非正規雇用と正規雇用という区分をなくすことです。

非正規雇用の禁止とも、正規雇用の禁止ともいえます。

非正規雇用の禁止

同一労働同一賃金にはなりえないので、一般派遣という雇用形態を禁止すべき。

私は、賃金格差を打開する糸口は「特定派遣」という雇用形態だと考えています。

特定派遣とは、派遣会社自体に雇用され、派遣会社からお金をもらいながら、派遣会社の顧客のもとで働くという形式です。

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要するに、コンサルティングファームにおける雇用形態です。

いわゆる派遣会社(正確には一般派遣会社)という制度をなくし、特定派遣のみを許容すべきだと考えています。

こうすることで、すべての人がいちおうの正社員として働くことができます。

賃金体系を区別する

次に、正規・非正規ではなく、常勤・非常勤で区別すべきだと考えています。

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非常勤社員は成果給で議論をすべきです。

なぜなら、非常勤の労働者(パートタイム社員やコンサルタントなど)の時間は、会社側が自由に使えるものではないからです。*2

失業の増加について

上のような考え方に対しては「特定派遣会社に採用されなければそのまま失業するではないか」という意見があると思います。

確かに失業する人は増えるかもしれませんが、私はそれを問題だとは思いません。

なぜなら、どの特定派遣会社にも採用されない人は、いまの仕組みのまま賃上げが行われたとしても「派遣切り」にあうと思われるからです。

これは特定派遣を推進したから起こることではなく、あらゆる賃上げにともなうリスクです。

終わりに

終身雇用が過大評価される傾向がありますが、もともとの終身雇用は「社内固有のルール」を覚えてもらうための仕組みにすぎません。

また、あらゆる改革には痛みがつきものです。

終身雇用という「既得権益」にしがみついたり、一時的な失業に目を背けたりしないで、しっかりと改革していただきたいものです。

ついでにいえば、私はベーシック・インカム賛成派なので、将来的には失業を恐れずに済む環境になればよいなと思っています。

*1:厚生労働省(2017)も、報告書内で「同一労働同一賃金原則を男女差別禁止の枠組みと考えている国もあり、すべての欧州諸国が、同一労働同一賃金原則を、雇用形態別の問題として捉えているわけではないとの指摘もあった。」と記述しています。

*2:非常勤労働者は、契約時点で業務内容がある程度決まってしまっていることが多いでしょう。一方で、常勤労働者の時間は、異動などを含めてある程度自由に利用できます。