ハタラキアリの徒然日記

働く中で気づいたことについて書くブログです。仕事での「気づき」やビジネス書の書評などを書いています。

就活に意味はあるのか? 大学を中退できない凡人たちへ

ある講演会に参加したときに「就活って意味があるんですか?」と聞かれた。はっとした。

私の就職活動

就活解禁と呼ばれる大学4年(修士2年)の6月よりも、約2年早いタイミングで就職活動をはじめた。

自他ともに認める「就活ガチ勢」というもので、サマーインターンなどにおける評価はかなり高かったと思う。

こういうと非常に戦略的に聞こえるかもしれないが、自分の能力が高くないと思ったから早く始めていただけだ。*1

運よくトップクラスの企業からオファーをいただき、いくつかの最良の環境を選択できる立場にあった。

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私が選んだ企業は、ひと昔前なら、ハーバードビジネススクールの卒業生ですら憧れるような企業だろう。

「就活って意味があるんですか?」

内定先でマウンティングするのは好きではないので、基本的には聞かれても「金融業ですよ」としか伝えない。

その企業に入社できることは誇りに思っているし、その名に恥じぬように努力しなければとも思っているが、それを人に伝えるかは別問題だ。

そんな中、新卒で起業しようとしている人に出会った。彼は「就活って意味があるんですか」と聞いてきたのだ。

「大企業に行くべきですか、それともベンチャーが良いですか。」や「新卒で起業というのはリスクが高いのでしょうか。」という質問はよく聞くのだが、「就活に意味があるか?」という質問は初めてだった。

私の答え

私の回答はシンプルだった。

「本源的な意味はないよ。でも、世の中の大半の人が意味があると思ってる。」

彼は続けて質問してきた。「じゃあ、あなたにとっては意味がないのでは?」

私にとっては意味があった。

「それは違う。周囲から見て意味があるのだから、使い道がある。」

時間の価値

私は続けて答えた。

「周囲の人にとって意味のある『肩書き』のおかげで、事業が少しでもうまくいくなら得だとは思わない?」

彼は食い下がって「そのために何年も使うのはもったいないのでは?」

私「確かにそうかもしれない。でも、マッキンゼーでの4年間が無駄だというのなら、東京大学や慶応大学での4年間はもっと無駄だと思うよ。」

彼「それは確かに、そうかもしれませんね・・・」

私は新卒起業に反対しているわけではない。ただ、そこまで急いで達成すべき課題があるのなら、4年間も大学に通っている場合ではないだろうと考えているのは事実だ。

そして、信用の獲得や人材の獲得において、肩書が役に立つというのも事実だろう。

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DeNAの南場さんは「マッキンゼーでの経験は役に立たなかった」とよく言っているが、それは違う。

彼女が津田塾大学を卒業してすぐにDeNAを創設していたら*2、おそらく優秀な人材はついてこなかったはずだ。今でも、DeNAに入社したがる学生は「元マッキンゼーの」南場さんにあこがれている。

もちろん、南場さんほどの方がそこに気づいていないわけではない。

コンサルティングファームや金融機関と優秀な人材を奪い合うからこそ、「事業会社で成功したいなら事業会社に行くべきだ」というポジショントークをしているに過ぎない。

スタートアップというキャリア

いわゆる「意識高い系」と呼ばれる学生がいる。

社会人顔負けに働いていたり、起業していたり、よくわからないボランティアに参加していたりする学生たちだ。

私もどちらかというとこのジャンルに近い学生なので、就職活動の中では「そもそも企業に入社するのは負けではないだろうか。スタートアップに行くか、起業したほうが成功するのではないか。」と考えている時期はあった。

しかし、よく考えたら上に書いたとおり「マッキンゼーの4年間が無駄だというなら、大学生の4年間はもっと無駄だな」という結論に至った。

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残念ながら、大学を中退してまでやりたい事業はなかったし、私のリスク許容度はそこまで高くなかった。

今では「スタートアップに行くべきですか?」という質問に対しては「いま大学を中退してでも入社したいと思えるなら入社すべきだと思う」と答えるようにしている。

大学を中退してまでやりたいことがあるならやるべきだ。その覚悟に自信を持ったほうがいい。

ただ、「大卒」という肩書がないと安心できないような凡人は、おとなしく「元マッキンゼー」の肩書きを狙ったほうがいい。

起業しづらくなるのではないか

いったん大企業に入社すると、その安定感から転職や独立をしづらくなるのではないかと考えている人が多い。

それは一理ある。

だからこそ、私は「大企業」の例としてマッキンゼーやゴールドマンを挙げている。安定とは無縁の挑戦的で流動的な企業だ。

私の言う「大企業」にトヨタ自動車は含まれていない。

挑戦を掲げる「意識高い系」が、企業の話になったとたんに安定の代表格の話をするのはおかしいと思う。就職するにしても最初から起業するにしても、挑戦という評価軸は変えなくていい。

就活生へ、大企業を侮らないで

自分の実力に自信がある人ほど、わざわざ「大企業」に入社する必要はないと思っている傾向があります。

ただ、その判断をするのなら、企業をもっとよく知ってください。

「マッキンゼーの4年間で何が学べるか」「ゴールドマン・サックスの4年間で何が学べるか」をゼロベースで考えたときに、いま急いで起業したりスタートアップに入社したりする必要があるでしょうか。

多くの「意識高い系」の学生は、マッキンゼーやゴールドマンの環境を侮っています。聞きかじった知識で「若手はエクセルとパワポやるだけでしょ?」と考えています。

いったん先入観を取り払って、冷静に企業を見てください。

大学を中退する気もないあなたに、マッキンゼーやゴールドマンの数年間を無駄だという資格が本当にありますか。

事業会社や起業家のポジショントークに惑わされてはいませんか。

もう一度よく考えてみてください。きっと考え方が変わるはずです。

*1:大学受験の勉強をはじめるのが遅く、結果的に浪人することになったので、大学入学当初から「就活は人より早く始めよう」と考えていた。

*2:そもそも、マッキンゼーのコンサルタントとして提案した内容がもとになっている事業なのだから、マッキンゼーなしでは創業できていないはずだ。